日就寮にもゲイは住んでいる!


 こんにちは。2023年春に日就寮に入寮した理学部1年、天津飯です。実は僕はゲイなのですが、今回はそのことについて書いてみようと思います。ちなみにゲイとは男性を恋愛的に好きになる男性のことです。
 このパンフを受け取る多くの人は10代後半から20代だと思いますが、特にそのような年代は自分のセクシャリティについて悩む人も一定数いることでしょう。それでも周囲には言えない。高校生の時の僕もそうでした。家族にも言えませんでした。
 そうではない人も、近年話題になっている「LGBTQ」とか「性的マイノリティ」という言葉は知っていても、実際どのようなものなのかわからない人は多いのではないでしょうか。でもこういうことについてもある程度知っておくことは誰にとっても必要なことだと思います。この文章を読んで、性的マイノリティは決して特別なものではない、普通のことであることを感じてほしいです。
 僕は、ゲイやLGBTQについての一般論を話せるほどの年齢や立場ではないし、知らないことがまだまだたくさんあります。しかしせっかくの機会ですし、ここでは全体を通して、一般論よりかは一人称視点で書いてみようと思いました。

 まずは、「LGBTQ」「性的マイノリティ」について少しおさらいしておきましょう。世の中では、生まれた時に割り振られた性と性自認が一致し、恋愛的に異性を好きになる人が大多数です。しかしそれは多数派であるだけで、必ずしも全員がそうであるわけではないことは時々忘れられがちです。代表的なのはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(割り当てられた性と性自認が一致しない人)であり、それらの頭文字をとって「LGBT」といいます。でも、それが性的マイノリティのすべてではありません。性というものは流動的で、かつグラデーションがあるもので、時に曖昧なものなのです。例えば、男性でも女性でもない、恋愛には興味がない、男性を自認しているが女性らしく振る舞うなど、性にはいろいろなあり方があります。そこで、クエスチョニング(自分の性のあり方がわからない、定めない)、または多様な性のありかたすべてをひっくるめたクィアという言葉の頭文字であるQを組み合わせて、「LGBTQ」と言ったりします。

 さて、僕の話をしましょう。僕は日就寮のことは東北大学の前期試験会場でもらったパンフで知りました。学生寮の古き良き人間臭さも残しつつ、学生のことをなにより第一に考えた自治をしていることに強く共感したし、そこに携わって継承したいと思いました。
 さらに日就寮では寮生どうしさまざまなことを話し合える環境があり、時には性についての話題についても話したりします。性教育が不足している日本ですが、日就寮のこのような環境は素晴らしいものだと思います。
 大人数にカミングアウトするようになったのも日就寮がはじめてでした。僕は高校生のころまでは誰にもカミングアウトできませんでした。入って1ヶ月くらいの頃、長い付き合いになるだろう寮の人たちにはカミングアウトしたい、「彼氏欲しい」なんてこぼしたいなんて思いながらカミングアウトしました。その後家族にもカミングアウトしました。みんな自分が想像していたよりも驚かず、その後も変わらず普通に接してくれています。本当に感謝しています。

 入学した2023年の春以降、いわゆるゲイ活動もぼちぼちやってきました。そのころからお世話になっているのは、定禅寺通りにあるコミュニティセンターZELという、ゲイ・バイセクシャル男性向けの施設です。HIV/AIDSの情報発信が目的の施設ですが、仙台のゲイバーなどの情報が得られたり、ゲイの人と話したりもできます。信頼できる方が運営されているところなので、ゲイの人に会うのには敷居を感じるゲイにとっては良いところだと思います。
 あとは東北大学には、「東北大学 性を考えるサークルAROW」というサークルがあります。性的マイノリティに関わらず、女性の権利や、性教育についても取り組んでいる団体です。去年は「色々合コン」という企画のなかで、ゲイとバイセクシャル男性だけが参加できる「男子だけ合コン」というものに参加してきました ♪イベントをいろいろやっているので、東北大生の方はTwitterInstagramをフォローしましょう!


 大学に入っていわゆる「ゲイデビュー ()」する前は、僕にとってYouTubeが、ゲイの世界ともいうべき世界を知る入り口でした。新宿2丁目や、ドラァグクイーン、GOGOボーイなど、こんなにおもしろいものが世の中にはあるのか、と思いました。

 そもそも、僕が自分がゲイであると気づき始めたのは、中学卒業のころ、ちょうどコロナ禍のときでした。男女よりも男同士のほうがドキドキする自分に気づきました。しかし自分がゲイであるということを受け入れられたのはすぐではありませんでした。クエスチョニング、パンセクシャル、バイセクシャルを経て、ゲイに辿り着きました。結局自分がゲイであると認めると、すごくしっくりきたし、すっきりしました。まあでも最近は「ゲイ」にこだわりすぎなくてもいいかなとも思っていますが、男性が好きなことに変わりはありません。
 さらにいまでも僕は、自分がゲイである理由がわかりません。いや、ほんと不思議。無責任なように聞こえるかもしれませんが、恋心もそうであるように、自分の性別(体も心も)って自分の意思とは無関係なんだと思います。だから、僕がゲイなのは神様の仕業だ、というのは一つの真理だと思っています。でも結局ゲイって楽しいので、僕は神様に感謝しています。

 最後に、オールジェンダー化を目指す日就寮についてひとこと。まず「男子」しか住めないのは多様性の欠如であり、これは住人にとってはマイナスだと思うので、性別によらない学生の入寮ができたらいいなと思います(今年度は「誰もが住める寮にするための宣言」というものを寮生総会を通じて採択しました)。そもそも「男子女子」という括り方こそナンセンス!……とは言っても、設備的な問題もあるのでそこを乗り越えなければならないですが。
 あとは、寮内に「男子」しかいないからといって、寮内での「出会い」に僕は期待しません。相手がゲイでもゲイでなくても、無理にそのような関係を迫ることはセクハラになりますし、日就寮が誰でも住める場所ではなくなってしまうからです。さらに、恋人探しならゲイが集まっている場所でした方が効率がいいに決まっています。

 まあとにかく、僕は自分がゲイであるということに気付けてよかったです!!

 今は心細さを感じている人もいるかもしれませんが、きっと居場所はあります。性的マイノリティのコミュニティセンターなどに、足を運んでみてください。そして少なくとも、僕は性的マイノリティの味方でありたいと思っています。

 もしも僕と話してみたいと思った人がいれば、下のメアドにどうぞ!
ankake.tenshinhan@gmail.com